足のお悩み百科

ウォーキングシューズ選びの注意点

この記事の監修者

株式会社AKAISHI 代表取締役 赤石恒一 / 保健学博士

靴医学の権威、新潟医療福祉大学大学院の阿部薫教授に師事。専門分野は保健学で、足の悩みの改善や、靴の機能向上のための研究をしている。
【所属学会】日本整形靴技術協会(副会長)、日本靴医学会

そのウォーキングシューズ、合っていますか?

「ウォーキングシューズ」と聞くと、なんとなく、“歩きやすそう”で“体によさそう”なイメージがわきますよね。もともとは、ウォーキングブームの時、あるスポーツメーカーが靴業界に進出するためのキーワードとして使ったものでした。歩きやすさや安定性を考慮し、長時間歩いても疲れない靴として開発されたのが、ウォーキングシューズです。

そこで今回は、一般的に良いとされているウォーキングシューズの機能と選び方、注意点を紹介したうえで、どのような種類があるのか?あなたの目的や悩みに応じてどのようなタイプを選ぶのが良いのか?を紹介したいと思います。

ウォーキングシューズの選び方

靴選びのポイントの図 歩きやすさを高めるポイントの図

長時間にわたる街歩きを想定した場合や、30分~1時間の限定された時間でもしっかりとウォーキングをする方は、1靴えらびの基本ポイント(①〜④)、2歩きやすさを高めるポイント(イ〜ハ)、これら7つのポイントが示す機能に注目すれば、失敗は少ないと思います。

※カウンターとは…かかと部の形を保ち保護するとともに、歩行時におけるかかとの安定をはかるため、踵部の表材と裏材の間に挿入する芯をいう。

1. 靴えらびの基本ポイント

ちょうどいい捨て寸と歩きにくい捨て寸

ポイント① つま先に10mm程度の余裕

歩行中、靴の中で足は5~6mm程度前後に動きますので、その分の余裕を残しておく必要があります。10mm程度がちょうど良い捨て寸ですが、ご高齢の方は、この捨て寸を小さめにとると歩きやすくなります。また、厚手の靴下を好む人は、その厚みを考慮して15mm程度の余裕を持たせたりするケースもあります。ただし、20mmを超えると歩きづらさを感じますので、あまりお勧めしません。

靴紐・マジックテープ

ポイント② 甲の部分で調整できる

靴が常にピッタリとあなたの足にあっている状態なら、紐が無くても全く問題ありません。しかし、靴下の厚みや体重の増減など、常に足の状態は変化していますし、足の前後の動きを極力小さく抑えるためにも、紐やマジックテープなどで調整できる靴を選びましょう。

あと、もう一つ。

せっかく紐がついているのに、紐がゆるめのままで、解けるまで締めなおさない方が多いのですが、紐は履くたびに締めなおしてください。特に、ダイエット目的でウォーキングを始めたという方は、膝や腰の痛みの予防にもなります。ダイエット・ウォーキングのルーティンとして、準備運動の前に、しっかり紐を締めましょう。
※ご高齢の方、すでに膝や腰が痛い方は、紐とファスナーの両方がついているものを選ぶと負担が少ないと思います。その場合でも、1週間に1回程度は締めなおすことをお勧めします。

カウンター

ポイント③ しっかりとしたカウンター

歩行中、踵の骨は外側に倒れたり、もとに戻ったりを繰り返しています。動きの程度は人それぞれですが、内に倒れる量が多い場合を「オーバープロネーション」(外反偏平に多い)、外側に倒れる量が多いことを「オーバーサピネーション」(O脚に多い)と呼び、ランニングの分野では様々な工夫が靴底やカウンターに施されています。歩行の場合は、そこまでシビアになる必要はありませんが、踵のこの動きを抑制することで、外反偏平足やO脚が助長されるのを防ぐことができます。オーバープロネーション・オーバーサピネーション

また、靴の踵の部分が足より大きすぎると、カウンターの効果が薄れてしまいますのでご注意ください。

目安として、内側にはクッション材が入っていて、足にフィットし、外側は硬くてしっかりしているものがお勧めです。

ポイント④ 捻じれないしっかりとした剛性

人は、加速と減速を繰り返しながら歩行しています。靴の「踵」部分は減速(衝撃の吸収/ブレーキ)、「つま先」部分(厳密にはちょっと違います)は加速(推進力)を担っています。

では、「靴の中心」は何をしているかといいますと、「踵」のブレーキと「つま先」の加速をうまくつなぎ合わせる役割をしています。この「靴の中心」が不安定だったり、靴底がグニャグニャしていると、加速の際にうまく力が発揮できなくなってしまいます。
更に、力の伝達はまっすぐではなく、蛇行しながらやや斜めに捻じれるように進むため、ここが捻じれやすいと歩きづらくなってしまいます。したがって、快適に長時間歩行したい場合は、アーチをしっかり支えられる剛性の強いものがお勧めです。
ここまでが、靴選びの基本的な4つのポイントです。これらはウォーキングシューズに限らず、足に過度の負担をかけずに歩くための靴選びに共通することです。参考にしてみてください。
減速(ブレーキ)〜加速(アクセル)

2.歩きやすさを高めるポイント

歩きやすさを高めるポイントの図

《3つのポイント》

  • イ 適度につま先が上がっている
  • ロ  適度に高低差がある
  • ハ  蹴り出しやすい

加速(アクセル)この3つのポイントは、加速をスムーズに行うためのものです。長時間歩いても疲れにくい靴を選びたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

靴が自分の足に合っているのかを確認する簡単な方法をご紹介します。
店頭で履き比べる場合、つぎの2つをチェックしてください。

チェック①

普段の歩くスピードの1/10位のスピードでスローモーションのようにゆっくり歩いてみてください。〇で囲んだところのタイミングで、一番スムーズに重心が前に移動する感覚があるものが、あなたにとって一番歩きやすい靴です。

減速(ブレーキ)〜加速(アクセル)

チェック②

つぎに、大股で少し早歩きをしてみてください。踵が脱げたり、甲の部分が圧迫されて痛いようであれば、蹴り出し部分の屈曲性が足りていないことになりますので、もう少し屈曲性の良いものを選んでください。
ちなみに、各メーカーさんのラインナップをみると、つま先に指2本分ぐらいの高さのあるものが、踵部分の高低差も適度で、歩きやすそうなものが多い印象があります。靴選びの目安として参考にして下さい。

ウォーキングシューズの種類と特徴

では、ウォーキングシューズには、どんな種類があるのでしょうか。特徴を知り、目的や年齢に合わせた靴を選びましょう。

ウォーキングシューズ

主にスポーツ店のウォーキングコーナーに置いてあるようなものですが、前述の7つの機能( ①〜⑦)にプラスして、通気性や防水、軽量、衝撃吸収等の機能を付加しているものが多く、ウォーキングに特化したシューズです。

【こんな方におすすめ】

  • 健康維持や生活習慣の予防のためにウォーキングを定期的に行っている方
  • 年代問わずおすすめ

タウンウォーキング

普段歩くことが多い方のタウン履きとして、買い物やレジャーにも使用できるよう、デザインに配慮したウォーキングシューズです。メーカーによっては、ウォーキングとタウンウォーキングをアッパーのデザインバリエーションで区別しているものも多いので、7つの機能は同じようなものと思っていただいて構いません。

【こんな方におすすめ】

  • 最近、疲れやすくなってきた方の普段履きに
  • ウォーキングとまではいかないが、よく散歩をする方
  • 偏平足や外反母趾のバニオンが痛い方
  • 50代以上の方

ベアフットシューズ

人間本来の歩行機能を鍛える目的で考えられた裸足感覚シューズです。このシューズは従来のウォーキングシューズとは全く逆の発想から生まれたもので、ウォーキングというよりはトレーニングを意識しています。したがって、若い方やアスリート志向の人には向いていますが、歩きやすさを重視する方、偏平足や中足骨骨頭痛、足底腱膜炎の方は控えた方が良いかもしれません。また、靴底が薄いものは、長時間アスファルトの上を歩くのには向いていない気がします。一方、バランス・アスレチック系のスポーツをされている方は、このタイプの靴の方が、よりパフォーマンスを発揮できるはずです。

【こんな方におすすめ】

  • ウォーキングだけでなく、軽い運動を行っている方
  • 脚力のある10~20代の若い方(フィット感も良く、快適)
  • ストイックに脚力を鍛えたい30~40代の方(足裏に問題のない方であれば使用可)
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