足のお悩み百科

ハンマートウ 原因と予防

この記事の監修者

株式会社AKAISHI 代表取締役 赤石恒一 / 保健学博士

靴医学の権威、新潟医療福祉大学大学院の阿部薫教授に師事。専門分野は保健学で、足の悩みの改善や、靴の機能向上のための研究をしている。
【所属学会】日本整形靴技術協会(副会長)、日本靴医学会

3つの足指変形

ハンマートウに代表される足指の変形は、「ハンマートウ」「クロウトウ」「マレットトウ」の3種類があります。

ハンマートウ

中節骨・基節骨・末節骨
基節骨が伸びてしまい、中節骨は硬く折れ曲がった状態。第一、第二、第三関節で曲がっている。

クロウトウ(鉤爪趾:かぎづめゆび)

中節骨・基節骨・末節骨
基節骨が伸びてしまい、中節骨と末節骨が硬く折れ曲がった状態。第一、第二関節で曲がっている。

マレットトウ

(槌趾:つちゆび)
中節骨・基節骨・末節骨
末節骨のみが折れ曲がった状態。第一関節だけが曲がっている。

※足の骨の位置については、下図をご覧ください。

中節骨・基節骨・末節骨

関節が徐々に固まり変形した状態を、その形からハンマーや鉤爪(かぎづめ)に例えて「ハンマートウ」「クロウトウ(鉤爪趾)」「マレットトウ(槌趾)」と呼びます。
このような変形がみられても、足指を能動的に動かせる(手を使わずに曲げ伸ばしができる)場合は、「今後なるかもしれないので気を付けましょう」と心がける程度でいいと思います。
しかし、足指を能動的に動かせない・手を使っても動かせないという場合は、それぞれの状態に応じて適切な処置が必要となります。

原因

  1. 関節リウマチ・痛風・糖尿病などの疾患によるもの
  2. 外反母趾や外反偏平足など足部(足首からつま先)に原因があるもの
  3. 下腿(膝から足首)・足部(足首からつま先)の筋肉の不均衡
  4. 問題のある靴

解説

●主に、上にあげた4つが原因ですが、マレットトウについては、
ごく稀に突き指が原因となることがあります。
指を伸ばす腱が切れたり、腱の付着部が骨折したり、切れて分離した場合に起こるようです。
(手では「マレット変形」と呼び、しばしば起こるようです)

●1の中でも、特にリウマチの場合は、頻度が高いです。

●2,3について解説します。
赤で記したのが、「長趾屈筋」と呼ばれる、親指以外の足の指を曲げる筋(腱)。
青で記したのが、指を伸ばす筋(腱)。
赤い部分が短くなると、図2のように、指を曲げる力が働きます。
※実際には、こんな感じにはなりません。あくまでもイメージです。

図1:正常な状態 図2:長趾屈筋が短くなると…

では、図2のようになるのは、どんなケースが考えられるのでしょうか?

ケース1 外反偏平足

図3・4を比較しながらご覧ください。
外反偏平足で筋の向きがずれてしまった場合、筋の長さは変わりませんが、骨格が崩れてしまっているので、相対的に筋は短くなってしまいます。
これは、長趾屈筋が内くるぶし側から親指以外の4本の指に繋がっているという構造上のデメリットも絡んでいるのですが、小指が一番影響を受けやすくなっています(★)。
このようにならない為にも、外反母趾同様、足のアーチを崩さないということがやはり大切なんですね。

図3:正常な足 図4:外反扁平足

※外反扁平足については、こちらの記事をご覧ください。

ケース2 足の構造上のデメリット

足指の変形に関しては、もう一つ構造上のデメリットがあります。

図5:正常な足 骨間筋・虫様筋

図5は、先程の図よりもう少し細かく描いてみたものです。
青が「骨間筋」という筋肉で、指の付け根の関節を下に曲げる働き(a)をしています。
赤は「虫様筋」という筋肉で、指の付け根の関節を下に曲げつつ、それ以外の足指の関節を伸ばす役割(b)をしています。

この筋肉の厄介なところは、指の側面についているので、指を段々と曲げていくと、いつの間にか指の関節の中心(●部分)を超えてしまい、作用が変わってしまうのです。


①段々と指を曲げていくと…


②骨間筋(青)が関節中心を超えて(○部分)、上向きの作用に変わる。


③同様に、虫様筋(赤)が関節中心を超えると(○部分)、鉤爪(かぎづめ)状になります。ちなみに、土踏まずが極端に上がり甲高になっている状態の「凹足」の方が足指の変形を起こしやすいのも、これが原因といわれています。

●4について解説します。
「問題のある靴」とは、どのような靴でしょうか?

  • ヒールのある靴
  • 小さすぎる靴、つま先の窮屈すぎる靴
  • 大きすぎる靴、横幅が合わず前滑りしつま先があたるような靴

このような靴は、ハンマートウなどの足指変形の原因となります。
自分の足にあった靴を選びましょう。

症状

主な症状は、足の指の変形ですが、それ以外にも以下のような症状がみられます。

  • 足裏や足の指の上にタコやマメができる⇒靴を履いた時に痛みがある
  • タコやマメが人差し指や小指にできやすい
  • 指の付け根の足の裏が痛くなる

また、足指の変形は初期の状態では、他動的に手で伸ばしたりすることができますが、時間の経過とともに固まって動かなくなり、手を使っても動かせなくなります。このような状態になってしまうと、装具やテーピングなどの保存的治療は難しくなり、外科的治療が必要になります。

ちなみに、ハンマートウは基本的には親指以外の指で起きやすく、親指に生じる足指の変形といえば外反母趾がほとんどです。普段気にしていないと意外と気づかないと思うのですが、親指って、関節が一つ少ないですよね。なので、ハンマートウは親指には起きにくくなっています。

初期段階での対応及び予防法

・外反偏平足が原因であれば、内側縦アーチと横アーチがついたインソールを使用する
・外反偏平足を伴わない場合は、横アーチのついたインソールで足裏にかかる圧を緩和する
・市販の矯正装具を使用する

変形補正指パッド

足指サポートサック

・足指のストレッチやマッサージを行う。(足の指でタオルをつかむ運動)

・タコやマメがある場合は、フェルトリングパットで除圧を行う。

・ハイヒールは我慢して履かない

これらの対策をお勧めします。
また、痛みが増したり歩行が困難なときは、お医者様にご相談ください。

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家の中で装着して過ごすだけで、足趾のストレッチ運動ができる。足底筋も鍛えられるので足のアーチを健康にする効果もあり。

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