足のお悩み百科

目的別・靴別のインソール選び

この記事の監修者

株式会社AKAISHI 代表取締役 赤石恒一 / 保健学博士

靴医学の権威、新潟医療福祉大学大学院の阿部薫教授に師事。専門分野は保健学で、足の悩みの改善や、靴の機能向上のための研究をしている。
【所属学会】日本整形靴技術協会(副会長)、日本靴医学会

せっかく靴を買ったのに、踵脱げしそうで歩きにくい、フィット感が今ひとつ、足裏が疲れる…。
こんな時、インソールを入れて解決できたら良いのですが、うまくいかない場合も多々あります。

よくあるインソールの失敗例

1)インソールを入れたら、きつくなってしまった。

インソールを入れると、靴の中の空間が狭くなります。ですから、もともとサイズ感がぴったりの靴にインソールを入れる場合、紐靴のように甲が調整できるタイプでないときつくなり、つま先が圧迫されることがあります。

2)足裏が痛くなった。

多くのインソールは、土踏まずを支える形状になっています。土踏まずの無い偏平足の人が、いきなり土踏まずを強くサポートされると足裏が痛くなることがあります。

偏平足の場合

3)かえって歩きにくくなった。

インソールを入れても、靴との相性が悪いと逆に履きにくくなります。例えば、踵の浅い靴に厚めのインソールを使用すると、踵が脱げやすくなります。

また、インソールは、靴の中でしっかり固定されて始めて効果を発揮します。インソールの裏面と靴の中底面がぴったり合わないとインソールが動いてしまい安定感が悪くなります。

これらのような失敗をしないためには、目的や使用する靴に合わせて選ぶことが重要です。

【豆知識】インソールの構造

  • ① 表面材…生地や合成皮革が一般的。抗菌や消臭効果のある素材もある。
  • ② クッション材…衝撃を吸収したり、荷重を分散する役割。
  • ③ ベース材…インソールの土台になる部分。高機能タイプはアーチがサポートされた形状が多い。
  • ④ 芯材…剛性や耐久性を高める役割。

インソール選びの前に「靴のチェック」

インソールの取り外しができるか。

→取り外し不可の場合は、薄いインソールしか使用できません。

靴の踵が極端に片減りしていないか。

→片減りしている場合、傾いた土台にインソールをセットしても効果が期待できません。

踵の周りの芯がしっかりしているか。

→芯が潰れている、柔らかすぎると踵がインソール上に保持されないので効果が期待できません。

甲まわりを紐やベルトで調整できるか。

→調整できない場合、厚いインソールは使用できません。

目的別インソールの選び方(市販されているインソール)

1.ゆるい靴のサイズ感を調整したい。

中敷きが取り外せる靴(スニーカー等)

もともと靴に入っている中敷きを外し、スペーサー(2mm~3mm厚の平らなインソール)を敷き、その上に外したインソールをセットします。このスペーサーは、ホームセンター等で販売しているスポンジシートで簡単に代用できます。前足部がゆるい場合は前足部のみ使用。

中敷きが取り外せない靴(パンプス等)

まず、靴の中敷き面が平であることが前提条件です。薄型のインソールをセットしましょう。
土踏まずがサポートされたタイプですと、土踏まず部分の隙間が埋まり疲れにくくなります。

2.仕事用の靴を履きやすくしたい。

長靴(厨房等で使用)

ブカブカで、硬い靴底が原因で多くの方がトラブルを抱えています。足裏の痛みや前すべりによる足趾や爪へのダメージ等が気になる場合は、クッション性あり、アーチがサポートされたインソールを選びましょう。動きやすくなり、ダメージを緩和することもできます。
  

安全靴(工場内や作業現場等)

靴底が硬いので、足裏が痛くなりやすいです。また平らな中敷きですと、長時間履いていた場合、足底への負担も蓄積していきます。もとの中敷きを取り外し、クッション性がありアーチがサポートされたインソールを使用することで、足底の疲れや痛みを予防できます。但し、インソールの厚みには注意。もともと入っている中敷きの厚みに近い厚みのものを選ぶと良いでしょう。

パンプスや紳士靴

パンプスやメンズドレスシューズは、購買時に足にぴったりフィットするサイズを選ぶのが基本です。また、殆どの靴が中敷きの取り外しができないため、使えるインソールは薄型タイプのみです。
薄型で土踏まずがサポートされているタイプを選ぶと良いでしょう。メンズビジネスシューズでは、最近中敷きが取り外しできるスニーカー構造のものが増えてきましたが、このタイプであれば、アーチがサポートされていて、踵や前足部に衝撃吸収に優れた素材が使用されている高機能タイプが使用できます。


  

3.スポーツ用の靴で怪我や痛みを予防したい。

スポーツ用インソール選びは、その目的やユーザーの年代によって異なります。ここでは、競技で良い結果を出すことを優先したものでは無く、足の怪我や障害の予防を優先したものを説明します。

使用する靴との相性が大切

基本的にもともと入っている中敷きと厚みが近いものを使用します。高機能タイプの厚めのインソールを入れたくなりますが、そうしますと、つま先や足の指が圧迫されトラブルの元になります。

重要なポイントは、土踏まずのサポート、ヒールカップとその剛性です。土踏まず(縦アーチ)のサポートは、主にアーチが潰れて足底負担が増すのを防ぎ、ヒールカップは、踵を安定させることで足首のぐらつきを軽減するのに役立ちます。
またスポーツ時の足底への衝撃は歩行に比べるとはるかに大きいので、柔らかい材質では、簡単につぶれてしまいます。剛性の高い素材でインソールの形が保たれていることが大切です。

④足のトラブルの予防や痛みの軽減

注意点

  • インソールでできることは基本的に、トラブルを起こりにくくする、またはトラブルによる痛みの軽減で、積極的に症状の改善や治癒を促すものではありません。痛みが続くようであれば、整形外科を受診してください。
  • ある程度の機能を有するインソールは、クッション材、ベース材、芯材で構成されているため、厚みがあります。これら高機能タイプが使用できる靴は、中敷きが取り外せるタイプとなるので注意が必要です。

 

中足骨骨頭痛

靴底が薄くて硬い靴やヒールの高い靴を履いている人に多いトラブルです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

クッション材が使われたインソールであれば一定の効果が期待できますが、以下の仕様がお薦めです。

  • インソールの前足部(足指の付け根が当たる位置)に衝撃吸収性能の高いクッション材が使用されている。
  • 横アーチがサポートされた形状。

足底筋膜炎

偏平足の方で土踏まずや踵が痛いと感じた場合、足底筋膜炎の可能性大です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

土踏まずがサポートされているインソールであれば一定の効果が期待できますが、以下の仕様がお薦めです。

  • 土踏まずがサポートされたベース材の上に柔らかいクッション材がある。
  • 一番下に芯材があり、曲げたり捻れたりしにくい。

外反母趾用

外反母趾に関しては、「インソール選び」より「靴選び」が優先します。インソールを入れたためにきつくなり母趾の圧迫感が強くなったのでは本末転倒です。

外反母趾用の靴選びについてはこちらをご覧ください。

  • インソール選びの注意点ですが、外反母趾の方の多くは、偏平足や開張足、中足骨骨頭痛を合併していますので、まずインソール前足部のクッション性が必要です。さらに、偏平足や開張足に対応するために、縦アーチ、横アーチのサポートも必要となります。

 

偏平足、開張足

中高年以降においては、足底の筋力や靭帯の衰えによって、足が偏平及び開張する方が多いようです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

アーチがサポートされたインソールの多くは、縦アーチ(偏平足用)横アーチ(開張足用)ともにサポートされていますので、これらの中から以下のポイントに選べば良いでしょう。

スニーカーやウォーキングシューズに使用する場合
  • クッション性があり、剛性を高める芯材が使われているタイプがお薦めですが、スポーツ用インソールのように土踏まずが硬くサポートされたタイプは避けましょう。偏平足の方が使用すると土踏まずが痛くなる恐れがあります。
パンプスやスリッポンに使用する場合
  • 厚さの薄いタイプ以外を使用すると、フィッティングがきつくなり甲や足指が圧迫されます。
  • 薄いタイプで縦、横のアーチがサポートされたタイプをお薦めします。

変形性膝関節症

膝の外側が痛くなるタイプと内側が痛くなるタイプがありますが、多くは内側が痛くなるタイプで、膝の内反が主な原因の一つです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

変形性膝関節症は膝の障害ですので、インソールでできるのは、関節に負担がかからないように働きかけることに限定されます。
膝の内側が痛むタイプは、内反膝(O脚)を補正するラテラルインソールがお薦めです。
 

  • 内反膝(O脚)は下腿が外側に傾いています。これを真っ直ぐに補正するために踵の外側を少し持ち上げる構造になっています。

以上、足の障害別に細かい点まで説明しました。自分の悩みとそれに必要な仕様を確認した上で、購入しましょう。実際のお店やネットショップで該当するものを探すのが面倒な方には、以下にアイテム例を紹介しますので、参考にしてください。

中足骨骨頭痛には

アーチフィッターインソール がまんできない足裏用

やさしく包んで、アーチをサポート。足裏にダブルのいたわり。

足底筋膜炎・外反母趾・偏平足・開張足には

アーチフィッターインソール 長距離ウォーク用

人工アーチが歩きの動作を強力サポート

変形性膝関節症には

アーチフィッターインソール お悩み膝用

気になる膝のお悩みに

インソール選びについていろいろ紹介しましたが、靴そのものが消耗している場合、効果は限定的になってしまいます。高機能タイプは概ね2,000円以上しますので、靴の新調とどちらを優先するか検討されてから購入を決められた方がいいでしょう。

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